対戦カードゲーム考察
文:鋭場天理



どうも、ろっぱでは格闘ゲームばかり作っている鋭場天理です。
今回は趣向を変えて、カードゲームに触れてみたいと思います。 しかも、「1台のマシンで対戦可能なカードゲーム」について。
ちなみにカードの画像が用意できれば、カードゲーム自体はそんなに作るのは大変じゃないと思います(笑)。
インターフェイスとかは結構作りやすいものですし、ルールは既存のゲームの移植でもいいわけですし。

ただ、対戦可能なテーブルゲームを作る上で、越えなきゃならない壁が2つあります。
1つは、「コンピュータの思考ルーチン」。
どう出せば負けないか、ここで切り札を使うべきか、勝っておいて大丈夫か、など、
とことんまで突き詰めれば、ちょっとした論文ぐらいのスケールにはなると思います。
ですが結構大変なので1、今回はこちらには触れないでおきましょう。

もう1つ、今回メインに話すのが、「手札の隠蔽」。
普通、カードゲームをしているときは必ずと言っていいほど手札は公開しませんよね?
そういうゲームを一つの画面で対戦するように作ると、どうしても手札の扱いで問題が生じてくるのです。
……もちろん「ネットワーク対戦」という手もありますが、手札の隠蔽以上に大変なことになると思うので、今回はとりあえず「なし」としましょう。

ではさっそく、手札問題の解決法をいろいろあげてみましょう。


・手番プレイヤー以外は「後ろを向いて下さい」
ギャグとしか言いようのない解決法です。
要は他の人は画面見るな、と言うことですね。
技術やアイディアがあまりなかった黎明期は、この手法でも十分と思われていたらしいですが。
この方法はとにかく問題ありまくりです。
終わるたびに後ろ向いたり前向いたり、他の人は後ろ向いてるからズルできたりと、いちいち上げてたらきりがないくらいです。


・画面の真ん中にしきりを置く
画面を仕切って、境目についたてを置いて隔離する方法。
こんなアナログな方法だと冗談を書いているようですが、これで1台のマシンで対戦ができるようになっているゲームは今でも本当に存在します。
「ふたりでできる雀2」が好例ですね。
余談ですが、このタイプはしきりを外せば、一人でコンビ打ちができるという利点3もあります(笑)。

欠点は言うまでもなく、1人分の画面が狭くなること。
さらに人数を増やすと、もう手に負えなくなってきます。
あと、安定したしきりを用意するのが、ある意味手間です。
雑誌は固定しにくいし、普通の紙だとすぐぺらっと折れますし。


・手札隠蔽の必要がない(常に開いたままの)ゲームにする
まさに逆転の発想。
隠しにくいなら隠さなければいい」ということです。
このタイプだと、手札を比べてじっくり考える「読み」や「戦略」の要素が強いゲームになりますね。
例としては「ADF外伝4」というのがあります。まさに「読み」の極地といえるゲーム内容です。

欠点は特にありませんが、強いて言えば「ルールを一から作らないといけない」ぐらいでしょうか。
このタイプのゲームはほとんど存在しませんからね。


作る側としては、(どんなゲームであれ)対戦専用にしてしまうのが楽です。
ただそれでは味気ないので、CPU戦やちゃんとした対人戦が必要となってくるわけです。
それに、ルールを自分で考えるのも結構面白いものだと思いますよ。
私としては手札オープンのトリックテーキング5とか作ってみたいのですが……6
今後の課題ということにします。
興味があったら、トランプのようなアナログゲームをいろいろ研究して7みるのも面白いと思いますよ。
それでは。




脚注
1〆切ギリギリで書いてるのでそこまで突っ込めないというワケではないです、断じて(爆)。
2TIPSOFTより1500円で発売中です。
3利点か?(笑)
4After Devil Force外伝。COMPILE「DiscStation」24号に収録、現在は入手困難(というかほぼ不可能)。
5Windows付属の「ハーツ」のような進め方をするゲームの総称。有名なのはコントラクト・ブリッジやホイスト。
6一応、ツー・テン・ジャックはほぼそんな感じですが。
7さらに作れればベスト(笑)。