ゲームエミュレーターについて
1、エミュレーターとは
エミュレーターの語源は「エミュレート(emulate)」の”見習う、真似る”といった意味であって、エミュレーターとはあるハードウェア上で、別のハードウェア用のソフトウェアを仮想的に動かすソフトウェアのことです。
例えばMacintosh上でWindowsを動かすソフトやその逆にWindows上でMacintoshを動かすソフト、Linux上でWindowsを動かすソフトなどがあります。またWindowsやMacintosh上でファミコンやゲームボーイ、アーケードゲーム等を動かすいわゆるゲームエミュレーターも存在しています。ネット上ではただ単に「エミュレーター」といった場合、後者のゲームエミュレーターを指すのが一般的です。ここではゲームエミュレーターについて話していきます。
現在ではプレイステーションやNintendo64などといった高性能なゲームまでエミュレートされていますが、やはり特筆すべきはファミコンやスーパーファミコンといった一昔前のゲームをプレイできるといった点です。
2、エミュレーターを使用するには
実際にエミュレーターで遊ぶためにはゲーム機同様エミュレーター本体とソフトが必要です。
まずエミュレーター本体ですが、ほとんどがフリーウェアでネット上で配布されているので簡単に入手できます。中には有料のものもあって店頭や通信販売されているものもあります。
ソフトのほうはファミコンやゲームボーイなどは「ROMイメージ」と呼ばれるものをROMデータ吸出し用の機器を用いてソフトから抽出して使用しますが、その機器は専門的なお店で購入するか、自分で作成しなければなりません。それゆえ現在、ネット上にROM配布サイトやUP掲示板などが存在しており、そこでROMの取引が行われていますがこれらはすべて違法行為です。
プレイステーションやセガサターンはCDを使用するので自分の所有しているゲームCDを使用します。
3、エミュレーターの特徴
まずエミュレーターの欠点として、実機を再現しようとしているのですがやはり完全に再現できるわけではありません。ソフトによっては起動しないものや表示がおかしかったりするもの、異常に重いものがあったりします。
しかしエミュレーター特有の優れた機能として、
・リアルタイムでセーブができる
アクションやシューティング、また復活の呪文のような長いパスワードが必要なゲームであっても簡単にセーブすることができる。
・データの改造
エミュレーターのチート機能などを使用して改造したデータでプレイすることができる。
・速度を調整することができる
フレームレートを制御することで、倍速モードでプレイでき移動速度が遅いなどといった点を解消することができる。
・ゲームの画像・音楽を楽しむことができる
ゲームの途中過程を画像ファイルに保存することや、ゲームサウンドを音声ファイルとして抽出することもできる。
・セーブデータの数に制限がない
セーブデータはファイルとなるので別のフォルダに入れておくなどすれば容量の許す限りセーブデータを作ることができる。またプレイステーション等ではメモリーカードを購入しなくてもよく、かつ大量に作成できる。
などがあります。
4、違法性について
エミュレーター本体についてはハードを再現するもので違法性はないものと考えられています。実際、海外ではConnectix社が販売している「バーチャル・ゲーム・ステーション(VGS)」というプレイステーションのエミュレーターをソニーが提訴しましたが裁判所側はソニーの訴えを棄却しています。
ROMイメージについては元となったソフトを所有していないROMイメージを使うのは違法行為となります。また上にも書きましたがネット上で配布することや販売すること、ダウンロードすること等も違法行為となります。
プレイステーションのエミュレーターはCD-Rに焼いたものでも動くようですが”プレイステーション用のCDを購入する→CD-Rに焼く→買取店に売る”といった行為も違法です。
どうやらソフトに関しては所持しているかどうかが問題となっているようです。
5、個人的な見解
現在、ネット上でのROMイメージの配布等は違法だといわれているにもかかわらず大量に取引されているのが現状です。現に検索エンジンなどを使用して探してみると比較的簡単に入手できるようです。
また国内でかなりの人が無料でROMを入手しゲームをやっていると推測できますが、一般的なエミュレーターのジャンルがNES (ファミコン)、SNES(スーパーファミコン)といったように海外での表記で表示されるのが普通であることより、海外ではより多くの人がやっていると考えられます。
こういったROMの不正配布等は取り締まることが現実的に困難であるのが今の状態です。
このような現実をふまえて、現在では入手困難なゲーム(ファミコンのような昔のゲーム、生産中止となっているゲーム)については合法にしてしまってはどうかと思います。古き良きものをより多くの人に体験してもらえるし、製作者にとっても自分が製作したゲームが今も遊ばれるということは嬉しいことではないでしょうか。
ゲーム機の性能は以前と比べて大幅にUPしていて、昔のゲーム機は徐々に過去の遺産となっていっているのは必然であるかもしれませんが、そのような過去の遺産を継承していきたいといった考え方は当然出てくるわけであって、エミュレーターはそういった過去の遺産を継承することができるものではないかと思います。