結論の出ない「パズルゲーム」

4年E科 近藤 明
puka@dd.mbn.or.jp

1. はじめに

作り直しでございます。

本来、この原稿には調布祭に出展するパズルゲームの説明を載せる予定でした、が、このパズルゲームがイマイチ面白くない。他の出展作品の方が面白い。というわけで、この原稿はパズルゲームのアイディアを熟考していくと共に、新しい方向性を見出していきたいと思います。ネタがネタだけに普通結論を出してからレポート形式にするべきなのですが、時間の関係でリアルタイムでのレポートとします。この原稿が書き終わるまでに結論が出たならば、これ幸いと致します。

 まず、面白いアイディアがポンと頭に浮かぶ人には、まぁ何も問題は無いわけです。しかし、私は天才ではないので頭を動かすしか無いのです。

 一言にパズルゲームといってもかなりの分類に分かれると思うのですが、今回は『テトリス』『ぷよぷよ』などに代表される「落ちモノ」を対象として考えさせて頂きます。クロスワードやスケルトンなどは紙の上でも出来るので、ゲームならではのジャンルを選択しております。(読み手の方々に伝わりやすいように、既存のゲームを引き合いに出させて頂きます。知らないタイトルは調べて頂けると嬉しいです。)

2. 考察対象

 考察対象として、私が出展予定だったゲームの説明をしましょう。タイトルは「はっぱ親方」(以下「親方」)となっています。フィールドの下から徐々に出現してくるブロックで埋め尽くされないように、ブロックを「繋げて消す」事で削除し続けていくのが基本ルールです。ブロックに対してプレイヤーが操作できることは、全ての隣り合うブロックの交換、または一部のブロックの回転です。各ブロックには導火線が描いてあり、それを繋げ、爆弾で燃やしてブロックを削除します。他には、特殊なアイテムを数種使ってバラエティを出す、といったものです。

 初期のアイディアとしては、純粋な落ちモノの様にブロックを落下させるだけだったのですが、どうにもこうにも運任せになってしまいシステムが破綻してしまいました。そこで現在のようにブロックを操作するようなシステムを採用しました。『パネルでポン』というゲームを知っている方は、このゲームに近い想像をして頂ければ結構です。

この画面は開発中の物です

3. 欠点の考察

 これだけの説明では分かり辛いかとは思いますが、次は欠点を挙げていきましょう。自他の意見をまとめると、

  1. メリハリが無い
  2. 爽快感よりも虚しさが大きい
  3. 操作が複雑
  4. 自由度が高すぎる
  5. パズル性とアクション性のバランスが悪い
  6. ブロックの等価性が低い

 まず、1・2の問題ですが、「親方」は連鎖の後付けが出来るようにした為、ブロックが燃え尽きるまでかなりのタイムラグを設定しています。始めのうちは問題ないのですが、少しでも慣れてくるとこのウェイトにイライラしてきます。そしてやっとのことブロックを消しても、また同様に組み直して消すだけです。

 ここで引っかかってくるのが4・5の問題です。ブロックの交換、回転がほぼ自由なので、どんなブロックが出現してもプレイ感覚の変化が乏しいのです。アクション性というのは先程述べたように連鎖の後付けです。始めはパズルが苦手な人を考慮して設計したのですが、これのせいでアドリブだけでプレイ可能になってしまいました。

 その自由度を縛るために、ブロックに回転可・不可の区別を付けたのが6の問題。出現するブロックはランダムなのだから、そのブロックに差を付けてしまうのは良くないアイディアでした。『テトリス』や『ぷよぷよ』のブロックは基本的に等価値ですよね。そして爆弾が出てこないとブロックを消せないという前提にも問題が有ります。

 最後は3の問題。出来ることを増やしたために、その分操作に必要なボタンが増加していまい、プレイヤーの取っ付きやすさを減少させています。試行錯誤をして、2〜4ボタンでプレイ出来るようにはなりましたが、パズルゲームの基本は簡単なルールと操作性です。

4. 欠点の解消

 では、今度はこれらの欠点を解消出来るようにアイディアを練りましょう。

 アイディアの根底である「繋げて消す」というのは譲りたく無いです。譲ってしまうと自分の負けです。

 「繋げて消す」と聞くと『線脳』というゲームが思い浮かぶ方もいるかもしれません。私は最近まで知らなかったのですが。『線脳』の方は落ちモノの形式を取っているのに破綻していません。なぜなら消すための条件が「繋がった瞬間」だからです。「親方」では繋げた後、爆弾で引火する必要があるので、操作がとても複雑になってしまいます。また、『線脳』の様に一周させる必要もありません。これが破綻の元でした。

 今、思いついたのですが、爆弾をブロックに隣接させる必要は無いんじゃないでしょうか?爆発させた時に繋がっているブロックを探して消せば?どこらへんを「繋がっている」とするかはまだ問題ですが、悪くは無いような気がします。後付けによるアクション性は恐らく皆無になりそうですが、メリハリは生まれます。う〜ん、まだ考えがまとまらないので、次に進んでみましょう。

 虚しさを無くす為には、ブロックが無くなると同時にクリアになればいいはずです。だったら始めからブロックは積み上げておく様にし、増加を抑えます。フィールドの大きさを考慮するとすぐにゲームが終わりそうなので、ブロックに耐久力などを付けて長引くようにします。これで爆発による「壊す・解体する」というイメージが膨らんだと思います。

 そうなると、ゲームオーバー条件の見直しもありますね。時間制限を設けるのも手です。どうしましょうかね?

 プレイヤーの操作の幅が自由度を上げる原因なのですから、もうちょっと絞ってみます。ブロックの等価性を尊重したいので、全てのブロックで同じ操作が出来るようにします。

 もし、回転しか出来ない様にすれば、どうしても消せないブロックが出てきそうですね。交換だけだとあまり自由度が下がりそうにないです。両方出来るままだと操作が複雑です。

 となると、方向性としては現在の操作に制限を掛けるか、新しい操作を考えるか、となります。交換に制限を掛けるのはどうでしょうか?一定方向のみにするとか、一列まとめて交換するとか。新しいのは………スタックするとか、………逆に固定するとか………?何かよくわかりませんねぇ。難しい。使用ボタン数も2個以内に収めたい所です。

 う〜ん、結構自分の中で新しいイメージが出来てきました。ここら辺までくると、実際にプログラムを組んで試してみたくなります。というわけで今から組みます。始めに述べたようにリアルタイムでこの原稿は作成されておりますので、あしからず。

5. 3日後

 色々組み直して見た所、どうも「爆弾を任意に爆発させる」というのがテンポを悪くしている原因ではないか?という考えに至りました。よって、ある条件がそろった時に自動でブロックが消えるようなルールにしてみます。その条件とは繋げられた導火線ブロックの両端が、ある特殊なブロックで挟まれた時とします。条件がそろった瞬間、挟まれたブロックは消去されます。このルール変更によって連鎖の後付けはほぼ無くなります。先程のブロックに耐久力を付けるのも無しです。その代わりメリハリが生じてくれると思います。ただし、その特殊なブロックの出現条件をうまく設定しないと問題が再帰してしまうので要注意です。

 さて、新しいアイディアも浮かびこれから実装といきたい所ですが、締め切りです。この会誌原稿の提出締め切りなのです。残念ながら現時点ではプログラムは完成していませんが、この原稿が配布される頃には完成出来ていると嬉しいです。経路探索がうまくいかなくて大変なのですが…。

 やったことも無いゲームの話を読まされ、理解できなかった方々も多数いらっしゃるかと思いますが、今までパズルゲームに興味が無かった方や逆に好きな方に何かしらの事が伝わったのならば、嬉しく思います。

以上でこの原稿を終わらせて頂きます。