RPGってなんだろう

                                   尾花 智史

 今この世の中、テレビゲーム等のゲームのジャンルというのはたくさんあり、しかも同
じジャンルだとしてもまったく違うゲームであるものがほとんどなのです。その違いとい
うのがそのゲームの特色であるわけですが、その中で特にRPGというものを中心に話を
していきたいと思います。
 そもそもゲームというものは何かといえば、そのほとんどが、プレイヤーが主人公にな
ってゲームのキャラクターを操作するものであります。RPGは『ROLL PLAYI
NG GAME』の略であり、日本語にしてみれば『ある役割を演じて遊ぶもの』という
意味になります。つまりゲームにとっては当たり前のこと、基本的なことなのです。基本
であるからこそRPGはさまざまなジャンルと結びつくことができるわけなのです。
 しかし基本的であるからにはそのことを満たしてなければいけません。つまりある役割
(基本的に主人公)を演じている気分を少しでも味わえないRPGはRPGとしていわゆ
る駄作になるわけです。
 これを読んでいる方の中には主人公が全く喋らないゲームを遊んだことがあると思いま
す。それはなぜなのでしょうか?考えてみると喋るということは私達の生活の中では当た
り前のことです。私たちは人の性格を判断するものとして人と話し、その人の口調などか
ら判断します。つまり主人公が喋ってしまうと主人公に性格が生まれてしまうわけです。
そうなるとどうなるかといえば、例えば、自分とゲームの主人公が全く違う性格だったら
どうなるでしょう?その主人公の性格が自分の憧れているものなら話は別ですが、なかな
か主人公になりきって感情移入するのは難しいでしょう。しかし主人公が喋るゲームはた
くさんあります。そういう主人公の性格は大体の人が感情移入できそうなポジティブな(積
極的な)性格が多いのです。
 では性格のあるなしで何が変わってくるのでしょうか?性格がない場合は自分がしたい
ように行動ができますが、ある場合はその性格に沿って話が進行していきます。つまり性
格が無い方が自由度は高いといえます。しかし、ある方はちゃんと主人公がストーリーの
中心となって話が進んでいるといえます。二つともそれぞれ特徴がありRPGというもの
にどちらが合うかはゲームによって違いますが、一つ言えることは主人公があんまり感情
移入しにくい性格である場合はそのゲームはあまり良作とはいえないでしょう。
 ここまでで私が言いたいことはRPGとはまず、主人公が多くのプレイヤーにとって感
情移入しやすい、または演じることができるキャラクターであるゲームということです。
 ではRPGにとって基本的なことを満たしたとして、その他にどんな要素があればその
ゲームはRPGというジャンルになるのでしょうか?
 RPGには必ず戦闘というものがあります。そして戦って経験値というのをかせいで強
くなっていく(レベルアップしていく)ものでもあります。他のジャンルでも戦闘という
ものがあるのもありますが、そういうものは大抵強くなるというのがありません。RPG
と名がついているゲームならば、ほとんどのものでレベルというのがあります。そのため
例えば、マリオでクリボウやノコノコを倒すことで経験値を手に入れレベルアップして強
くなったらそれはれっきとしたRPGになるわけです。そういう考えから生まれたのがア
クションRPGだと思います。アクションほど自分が主人公を演じやすいものはありませ
ん。まさに自分が戦って強くなるのを実感できるRPGだと思います。RPGは戦闘の仕
方によってさらに細かくジャンル分けができるジャンルだといえます。マップ上で駒を動
かして戦闘ができ、レベルが上がるのはシミュレーションRPGという具合に。そのほか
にも戦闘シーンだけアクションみたいになるのもあります。
 どうしてRPGに戦闘やレベルアップがあるかは、RPGという語源が生まれた理由を
考えなければいけませんが、単純にいってしまうと、それがなければ違うジャンルになっ
てしまうこと。いいかえれば、戦闘とレベルがあればRPGと呼べるジャンルがあるとい
うことなのです。
 つまりRPGとは他のジャンルに乗っかってできているものなのです。いうなればさま
ざまなゲームがジャンルが合体、集合してできた物といえるでしょう。だからRPGとい
うものには、多大なお金と、時間と、人が必要になってくるのです。それ以外にも他のジ
ャンルでの経験や、情報というものが必要になってくるのです。
 RPGというものはそのおかげでかなり練りこまれたものであるために、製作者の工夫
とか、やりがいとか、大変さとかが一番伝わってくるゲームジャンルだと思います。だか
ら一番商品化されやすいジャンルであるし、日本で一番売れまくっているジャンルでもあ
るわけなのです。
 ここでまとめかといえばまだ話は続きます。ここまでの話でRPGというものがどうい
うものかというのがわかったと思います。しかし、これでは主題の『RPGってなんだろ
う』の答えが出たわけではありません。ここから先の話はさっき書いたRPGが他のジャ
ンルに乗っかってできていること。つまりどんなジャンルがRPGの下積みになっている
かを話していきたいと思います。
 ほとんどのゲームにはストーリーがあります。RPGの要素としてこのこともあります
が、このストーリーが一番重要なゲーム、それはアドベンチャーです。恋愛ゲームなんか
には多いジャンルだと思いますが、そういうゲームは何が重要かといえばストーリー、い
わばお話です。RPGには一本のアドベンチャーゲームが作れるほど話があります。ただ
『魔王を倒す。』という話でもそこまで行くための話が必要です。こういった話中心のR
PGというのがRPGというゲームを成り立たせているわけです。
 アドベンチャー(話)はあくまでRPGの下積みです。お話というのはRPGにとって重
要かといえば重要ですが最重要ではありません。あくまでも下積みなのです。じゃあ何が
最重要かといえば、RPGの基本は役を演じることだといいましたがその基本がもっとも
重要なのです。最初と矛盾してしまうかもしれませんが、他のジャンルはこの基本を無視
してしまってもかまわないのです。ジャンルというのはそのゲームの種類別だけでなく、
そのゲームにとって最重要な部分、どこを一番楽しんでほしいかが書いてあるのです。つ
まりRPGとは主人公になりきることを一番楽しんでほしいわけで、話というのはプレイ
ヤーが役を演じられるきっかけを作り、最後まで役を演じ続けるための下積みとして重要
であるといいたいのです。下が悪いと崩れてしまいますからね。
 話だけで役を演じられたらそれほどいいことはないのですが、さっきも書きましたが、
戦闘というものがあればほとんどのゲームがRPGになれると。じゃあ戦闘はどういう位
置付けなのでしょうか?
 普通の日常で戦闘というものを体験した人はまずいないはずです。モンスターなんても
のもいないわけですから。じゃあ実際にモンスターと私たち生身の人が剣一本で戦ったと
しましょう。どうですか?はっきりいって生死に関わるかなり恐ろしいことだと思います
(想像するモンスターにもよりますけどね。)。生死に関わる問題とは人間にとってかな
り重要なことであり死にたくないという気持ちは多くの人が共感できる感情でもあります。
それがRPGというゲームには必要で、「死なないためには強くならなくちゃだめだ。」
「俺はまけないぜ」という気持ちが戦闘というものに出てくるのです。そういった気持ち
がさらに役を演じやすくする要因となるのです。つまり戦闘というのも話と一緒で、RP
Gを楽しむための『役を演じる』ための下積みになっているのです。
 戦闘というシステムは初期のRPGではどんなジャンルを元にしているかはわかりませ
んが、最近のではアクションなどのさまざまなジャンルを下積みにしたRPGゲームとい
うものがでています。
 さてここまでの話でRPGってものが何なのかということが少しは知識として得てもら
えたと思いますが、実際問題、ちゃんと役になりきってゲームをプレイしているかという
質問をしたらどうでしょう。100%なりきっていると答える人はまずいないでしょう。
いまこの世の中、戦闘シーン、壮大なストーリー、そしてキャラクターがあるゲームはR
PGというジャンルに区別されてしまいます。しかし、ゲームがたくさんある現代でユー
ザーに受け入れてもらうためには、きれいな映像なんかでユーザーの目に訴えかけなけれ
ばいけないのです。そして映像にこだわりすぎると内容が希薄になり、RPGとして一番
楽しんでほしいところを楽しめないゲームになってしまうわけです。もちろん人にもより
ますが。
 そこで私が思ったことなのですが、上で書いたRPGと呼ばれるための3つを満たして
しまうゲームはRPGとなってしまうために、RPGというジャンルを変えられないのな
ら、『○○RPG』というようにアクションやシミュレーションに続く、ゲーム製作会社
が個々に考えて、RPGというものの他にも、このゲームには楽しんでもらいたいところ
があるというのを表現してみたらいいと思います。もちろんゲーム雑誌等ではかならずそ
ういうジャンル名にしてもらうわけです。RPG以外のジャンルでももちろん新しい独創
的なジャンルを作ってみてほしいものです。
 例えば、映画のようなすっごい映像も楽しんでほしければ、『ムービーRPG』とか、
恋愛アドベンチャーがあるのならば『恋愛RPG』というのもありだと私は思います。
 日々の生活では何気ないというか区別でしかないジャンルであっても、自分がプレイし
たゲームくらいは、「このゲームはこんなジャンルじゃない!このゲームはこういうジャン
ルの方が合っている」とか考えてみたら楽しいゲームライフになるのではないかと思いま
す。
かなり題目からは外れましたが、私の言いたかったことはこんなところです。わかって
もらえなくてもいいですから、日々こんな何にもならないことを考えている人がいて、世
の中いろんな物の見方ができるものなのだなぁということをわかってもらえたら、書いた
人にとってこんなに嬉しいことはありません。
                                                                           以上