ダメージとHPを考える



0. 序      

 多くのRPGにおいてプレイヤーキャラの生命力はHP(ヒットポイント)として数値化されて表現される。
 相手モンスターからの攻撃はダメージとしてやはり数値化されHPを減少させる。
 そしてHPが0になると死亡または戦闘不能などとして大きなペナルティとして扱われるのである。

 ではこのHP、そしてダメージというのはどのようなものなのだろうか。
 考察してみよう。


1. 1ポイントの定義     

 HPは前述のように扱われる。
 よってHPは「キャラクターの生命力を表す単位」であると考えられる。
 またダメージは負の方向性をもつHPと単位を同じくする数値である。
 では1ポイントのHP、およびダメージとはどの程度なのだろう。

 有名なRPG「ドラゴンクエスト(以下DQ)」には「どくばり」という武器が存在する。
 基本的には常に1HPのダメージを与え、まれに急所を突くことで敵を即死させるという武器である。
 DQの公式ガイドブックのイラストを見ると普通のアイスピックを上回る大きさがあるように思える。
 これに刺されたときのケガが1ポイントのダメージに相当する。
 すなわち、この大型アイスピックが100本刺さると100ダメージである。
 ……痛い。

 もう一つ、別の角度からも考察しておこう。

 DQに登場する「スライム」というモンスターはシリーズのほとんどの作品で最弱モンスターとして登場している。
 そしてその攻撃によるダメージは冒険初期のキャラクターに対しても1ポイント程度のダメージである。
 さて、このスライム、大きさがサッカーボール程度のゼリー状の物質の塊で、その攻撃手段はもっぱら体当たりである。
 密度を水と大体同じとして計算すると5kgほどの重量である。
 すなわち重さ5kgのゼリーを投げつけられたのと同じ衝撃である。
 空気が充填されただけのサッカーボールでも当たればそれなりに痛い。
 中身が詰まっているとなると打撲程度では済まない気がする。

 以上の2例から、DQの世界における1ダメージはそれなりの怪我になりそうである。
 レベル1の一般人の状態で冒険を開始した直後では5kgのゼリーの体当たりを受け続ければ倒れてしまうのも無理はないだろう。


2. キャラクターの状態とHP     

 ここまでは敵からのダメージとしてHPを考えてきた。
 そこでここでは生命力を表す値としてのHPを考える。

 HPの上限はレベルが上昇することに伴って上昇する。  これは過酷な戦闘を繰り返すうちに鍛錬を積んでより頑強な体へと成長したことによると考えられる。
 頑丈になった分、か弱い攻撃は受け付けなくなる。
 十分に成長してからスライムに遭遇してもその攻撃は無効に終わることが多い。
 しかし何故かどくばりの攻撃だけはダメージを受ける。
 ある意味最強の武器なのだろうか?

 HPの回復はすなわち傷の回復である。
 HPを1ポイント回復することはどくばり1本分の傷を回復する、もしくはスライムの攻撃1回分の打撲を回復することと同義である。
 DQの薬草はHPをおよそ30ポイント回復することができる。
 今まで薬草の回復量など小規模なものだと考えてきたが、この回復能力はかなりすごいものであるようだ。

 HPの意味を考えるとHPが全快であるというのは傷一つない健康な状態である。
 HPが半分程度になるとかなりのケガである。骨折の一箇所くらいあるのだろうか?

 ではHPが1の状態はどうだろう。
 あと一回針が刺されば死んでしまう。
 きっと立ち上がることもできない危篤状態に違いない。
 というか昏倒していておかしくないのではないだろうか?
 世も世なら集中治療室のベッドの上である。
 しかし、そんな状態にも関わらず、五体満足な状態と同じ速さで走ったり、同じ力強さで攻撃をしかけることができたりもする。
 実は元気なのか?

 そしてHP 0。
 DQの世界では死亡という扱いになる。
 どくばりやスライムによって1ポイントずつダメージを受け続けてもいずれは死にいたる可能性がある。
 おそらく打撲から内臓破裂などの深刻な状態になるに違いない。
 スライム恐るべし、である。


3. まとめ     

 HPのシステムはゲーム上でキャラクターの状態をわかりやすくプレイヤーに伝えるために設けられたものである。
 そのためこういった考察を行うには無理が生じやすい代物である。

 この考察を通して私自身のHPがどの程度なのか知ることができたら、と考えていたが、昏倒するまで水入りのサッカーボールをぶつけられるのは丁重にお断りしたいしだいである。
 なおよい子は決して検証しようなどと思わないほうがいいですよ。
 きっと。

 最後に、このような駄文にここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。


M1S 横田 卓也