はじめに

 今年の3月から、調布の隣の府中にある某ゲーム屋でバイトをしております。根がゲーマーなだけあって仕事にもすんなりと慣れ、バイト先の人たちとも仲良く仕事をしています。これでもうちょっと時給が・・・ゲフンゲフン。すいません。割と楽な仕事なので文句は言えませんね。ちょっと安く売ってもらったりもしてるし。
ということで、ここでは約半年ゲーム屋に勤めてみて分かったいろいろなことについて書いてみようと思います。
なお、あんまり内部に踏み込んだことは書けません。問屋からの仕入れ値、ましてや経営状況なんて言えるわけがないのであしからず(って別に悪いわけではないですが・・・)。


バイト先の客層

 販売の立場にいるとよく思うのですが、ゲーム関係の雑誌やサイトによくある週間売り上げランキングを見ていると、「こっちのゲームの方が売れたよなあ」と思うことが多々あります。
それはつまり、特定の販売店(ここでは私のバイト先)に来る客層が偏っているために、全国の平均的な販売データとは異なる結果が出てくるということなのですが、ここではどんなお客さんが多く来ているのかということを考えてみたいと思います。
なお、あくまでも私の主観に基づくものなのであまり客観性のあるものではありません。そんなこともあるんだなー程度に思っていただければ。

大まかな年齢層

 2005年10月現在、ハード別にソフトの販売本数を見ると、おおむねPS2・DS・GBA・PSPの順で売れているといえます。しかし、私のバイト先ではDSやGBAソフトの販売本数が少ない印象があります。
売り上げランキングのTOP30までに1本もソフトが入らないこともあるPSPと、TOP10までに5本ぐらい入ることもあるDS、どうもこの2機種のソフト販売数があまり変わらない気がします。
例えば、『nintendogs』は全国的には60万本以上売れたヒット作ですが、バイト先ではあまり動きのいい商品とは言えません。『たまごっちのプチプチおみせっち』も全国的には割と売れているのですが、実際にはその半分ぐらいしか売っていないような錯覚にとらわれました。
DSは比較的低年齢層(小学生以下)向けのゲームや、今までゲームをやる機会が少ない層(女性、高年齢者など)をターゲットにしたゲームが多く、PSPは現在のゲーム主力購買層(10代〜20代の男性)を対象にしたものが多数を占めます。
このことから、私のバイト先ではゲームに対して最も多くの金をかける層である10代〜20代の男性が多く来店していると言えます。低年齢層も非常に多くのゲームを購入する層ですが、この層は保護者と一緒に大手量販店で購入することも多いため、街の小さなゲーム屋さんに来る人もそれほど多くはないと考えられます。 DSが新しく開拓しようとしている非ゲーマー層も同様ですね。
まあ、ゲーム屋ってちょっと混沌とした印象のあるところですし、これは割とあたりまえと言えばあたりまえですかねえ。

地域による違い

 ご存知の方も多いと思いますが、府中にはG1レースも行われる東京競馬場があり、開催日には多くの競馬ファンでごった返します。また、調布にFC東京と東京ヴェルディの本拠地である味の素スタジアムも存在するため、サッカーファンが多いことも事実です。 さて、このことがゲームの売れ行きに関係があるのかと言うと、実は大ありだったりします。 競馬ゲームで印象に残っているのは『ウイニングポスト7』です。同じ日に『機動戦士ガンダムSEED DESTINY 〜GENERATION of C.E.〜』も発売されたのですが、明らかにウイニングポストの方が売れていました。全国的にはガンダムの方が4〜5倍は売れていたにも関わらず・・・。しかも、バイト先の系列のチェーン店ではウイニングポストは全国的な推移とあまり変わりなく、府中店だけが妙に売れていたという感じです。
サッカーゲームでは『ワールドサッカー ウイニングイレブン9 ユビキタス エヴォリューション』あたりがよかったですね。発売直後は入荷すればその日のうちには品切れという状況が続くほどでした。(正直PSPでここまで売れたのは初め・・・ゲフンゲフン)。これも、全国的な推移よりも明らかに売れていました。
競馬が好きだから府中の大学に下宿するなんて話を聞いたことがありますが、あながち嘘じゃないのかなあと思いました。水道橋や幕張なんかだと野球ゲームがすげー売れたりするんですかねえ。

といった感じで、私のバイト先にはいわゆるゲーマーと言われる人が多く来店し、地域的に競馬やサッカーのファンも多いと考えられます。まあ、そこまで意外性のあるものでもないですが、こういった違いはなかなか面白いのではないかと思います。


販売・買取から分かるいろいろ

 ゲームの販売していると、どのゲームが人気があるのか、どのゲームがクソゲーなのかといったことがなんとなく雰囲気で察することができます。また、私のバイト先では中古ソフトの販売・買取もやっているのですが、中古として戻ってきた本数や買い取った時期からも、ある程度ゲームの内容を予測することができたりします。ここでは、それに関して感じたことをこまごまと書いてみたいと思います。

通常、ゲームの買取は発売してから2週間ぐらい経ったあたりから増え始めます。プレイし終わって満足し、別のゲームを買うための資金にする人が多いためですね。それが1〜2年ぐらいかけてゆっくりと減っていき、最終的にソフトがあるかないかぐらいの状態になります。
しかし、発売直後はそれなりに売れたけど1週間もしないうちに5本以上買い取ったりするソフトはクソゲーの可能性が高いですね。それが割とプレイ時間のかかるRPGとかだったらなおさらです。最近では『グランディアIII』あたりにその傾向が見られましたね・・・。
ただ、グランディアはまだ新品が全て売れてくれたので良かった方です。発売日に入荷した新品が売れ残っている状態が長く続くと非常に悲惨です。新品は仕入れ値が高いため、値段を下げるとすぐに原価割れとなり赤字となってしまいます。逆に言うと、赤字でも売れるだけマシという状態ですね。(もちろん、これは需要を見誤った小売店側の責任でもあるのですが・・・)
ここ半年で一番酷かったのは、やはり『機動戦士ガンダム 一年戦争』でしょうか。発売から1週間ぐらい、私がバイトに行くたびにどんどん値段が下がっていったのをよく覚えています・・・。このソフトは全国の問屋、小売店に対して多大なる被害を与えましたね・・・。
その一方で、新作でないのにいつの間にかじわじわ売れて、1〜2ヶ月に1回ぐらいの頻度で新品の追加注文(リピート)を取る商品があります。こういったソフトは、メーカー・問屋・小売店・消費者みんなにうれしいという場合が多いですね。いくつか例をあげると、
『東北大学未来科学技術共同研究センター 川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』
『やわらかあたま塾』
『逆転裁判』シリーズ
『牧場物語』シリーズ
『グランド・セフト・オート』シリーズ
『ギルティギア イグゼクス #RELOAD』
『SEGA AGES 2500シリーズ Vol.12 ぷよぷよ通パーフェクトセット』
こんな感じでしょうか。今やDSのキラータイトルとなったDSトレーニングとあたま塾は、年代が上の層に弱いバイト先でもかなり売れました。逆転裁判は廉価版の影響もありますが気がつくとなくなっていたりします。牧場物語は主にGBA版ですね。GBAの任天堂タイトル(マリオ・ポケモンなど)は比較的この傾向が強いようです。
GTAは確かに売れるのですが・・・やっぱり世間からの風当たりは強いですね。私のバイト先でも、先日小学生には親の同意書がないと販売しないと決めたばかりです。ギルティギアはなんかこれだけ妙に売れます。アーケードでも新作が出たそうですし、やっぱ人気あるんですかねえ。ぷよ通はフィーバーよりも回りがいいですね(笑)。 他にも、テトリスや人生ゲームなどの定番ゲームも、非常にゆっくりだけど確実に売れます。こういったものは2000円ほどで売られているのも大きいですね。


2005年度上半期ぶった切り

 この会誌を書いている現在(2005年10月19日)、都合よくファミ通に上半期の売り上げTOP100が掲載されていたので、ここではそれについていろいろと思ったことを書いてみたいと思います。

まずはTOP10から。

順位機種ソフト販売本数累計販売本数発売日メーカー
1PS2ワールドサッカー ウイニングイレブン9884,130本
2005年 8月 4日コナミ
2DSnintendogs(柴&フレンズ/ダックス&フレンズ/チワワ&フレンズ)697,940本
2005年 4月21日任天堂
3DS東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修
脳を鍛える大人のDSトレーニング
615,074本
2005年 5月19日任天堂
4PS2第3次スーパーロボット対戦α〜終焉の銀河へ592,506本
2005年 7月28日バンプレスト
5GBA甲虫王者ムシキング〜グレイテストチャンピオンへの道〜559,772本
2005年 6月23日セガ
6DSやわらかあたま塾531,750本
2005年 6月30日任天堂
7PS2ロマンシング サガ -ミンストレルソング-454,321本
2005年 4月21日スクウェア・エニックス
8PS2機動戦士ガンダム 一年戦争424,591本
2005年 4月 7日バンダイ
9PS2実況パワフルプロ野球12423,640本
2005年 7月14日コナミ
10DSジャンプスーパースターズ375,745本
2005年 8月 8日任天堂
(集計期間:2005年3月28日〜10月4日、累計販売本数は発売日が集計期間外の場合のみ記載)
(引用:週刊ファミ通 2005年10月28日号(2005年10月14日発売) No.880,エンターブレイン,p45〜p47)

 さてさて、今期の特徴としてはなんといってもDSでしょうか。特に『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修脳を鍛える大人のDSトレーニング』(以下『東(略)グ』)と『やわらかあたま塾』の2作品には目を見張るものがあります。
どちらも発売初週は3万本程度の販売数でしたが、その後もペースが全く落ちておらず(むしろ上がっている)、東(略)グは大作ソフトの発売されない週には売り上げ1位になるほどです。
「脳を鍛える商品の需要」「今までゲームをやらなかった層へのアピール」「定価2800円という絶妙な価格設定」。これらがうまく合わさることで、最近のゲーム業界では考えられなかったタイプの超ロングヒット商品となりました。この調子だと、売り上げ100万本も決して非現実的な数字ではなくなってきました。続編も出るようですし、この分野はまだまだ長持ちしそうです。
PS2のゲームでは、ロマサガと一年戦争が印象深いですね。ロマサガは発売当初からかなり品薄で、しかもちょうどゴールデンウィークと重なり、なかなか入荷されない状態が長く続きました。前作『アンリミテッド:サガ』の商業的な失敗によって小売店からの入荷数が絞られ、さらにメーカーの方でも生産がなかなか追いつかなかったのが原因のようです。その結果として、新品として売れるはずだったものが中古に流れる状態を生み出し、本来よりも販売本数が少ないという結果になってしまいました。これは供給が需要に追いつかずにメーカーが損しているパターンですね。
逆に、一年戦争はなんでこんなに売れてんだよって感じですね(笑)。上にも書いたので詳細は省きますが、これは需要が多すぎて問屋と小売店が損をするパターンですね。おそらく、一年戦争の製作チームの作る次回作が売れに売れた場合、ロマサガのような状態になるでしょうね(笑)。


ここからは気になったところだけ。

順位機種ソフト販売本数累計販売本数発売日メーカー
14GBAファミコンミニ スーパーマリオブラザーズ264,065本842,790本2004年 2月14日任天堂
17PS2ワールドサッカー ウイニングイレブン8
ライヴウエアエヴォリューション
203,172本468,149本2005年 3月24日コナミ
27DSタッチ! カービィ174,195本246,297本2005年 3月24日任天堂
42GBAポケットモンスター エメラルド116,623本1,602,864本2004年 9月16日ポケモン
48DSさわるメイドインワリオ100,442本797,500本2004年12月 2日任天堂
49PS2実戦パチスロ必勝法! 北斗の拳 Plus99,273本191,898本2005年 2月24日セガ
56DSスーパーマリオ64DS89,997本765,560本2004年12月 2日任天堂
57GBAポケットモンスター
ファイアレッド・リーフグリーン
89,454本2,542,448本2004年 1月29日ポケモン
58PS2真・三國無双484,406本913,522本2005年 2月24日コーエー
64PS2大都技研公式パチスロシミュレーター 吉宗77,545本497,729本2004年12月 9日大都技研
76PSPサルゲッチュP!65,170本105,190本2005年 3月17日ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン
77PSPみんなのGOLF ポータブル64,056本390,694本2004年12月12日ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン
81PS2みんなのGOLF4(PlayStation2 the Best)62,440本218,088本2004年 7月 8日ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン
82DSエッグモンスターHERO62,266本91,730本2005年 3月24日スクウェア・エニックス
84GBAロックマン エグゼ5 チーム オブ カーネル60,670本194,472本2005年 2月24日カプコン
90DS牧場物語 コロボックルステーション59,251本95,896本2005年 3月17日マーベラスインタラクティブ
93PSPテイルズ オブ エターニア54,785本188,185本2005年 3月 3日ナムコ
94PS2ワイルドアームズ ザ フォースデトネイター54,493本186,221本2005年 3月24日ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン
96GBAマリオパーティアドバンス51,832本223,007本2005年 1月13日任天堂
(集計期間:2005年3月28日〜10月4日、累計販売本数は発売日が集計期間外の場合のみ記載)
(引用:週刊ファミ通 2005年10月28日号(2005年10月14日発売) No.880,エンターブレイン,p45〜p47)

集計期間外に発売されたものだけ並べてみました。基本的には長く売れているソフトってことですね(発売日が3月28日に近いものはあれですが)。
14位は9月13日に再販されたマリオですね。GBミクロの効果もあってか、いまだに売れています。この調子だとミリオンいくんじゃないですかねえ。いつまでたっても怪物ソフトは怪物ソフトのようです。
怪物ソフトといえばポケモン。42位と57位にGBA版がランクインしています。ポケモンをやらない人には意外と思われるかもしれませんが、実際のところ売れてます。特にエメラルドはめったに中古が入らず、あっても1週間以内には確実に売れてしまいます。小学生だけではなく、初代GB版からの根強いファンが100万単位でいることも一因だと思われます(何を隠そう私もほぼ10年来の大ファン)。
49位と64位にはパチスロソフトが入っていますね。これも意外なことに、パチンコ系のソフトって結構売れます。シミュレータとしての質が上がったんですかね(よく知らない)。


順位機種ソフト販売本数累計販売本数発売日メーカー
28PS2ティアリングサーガシリーズ ベルウィックサーガ173,723本
2005年 5月26日エンターブレイン
30GCファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡156,220本
2005年 4月20日任天堂
(集計期間:2005年3月28日〜10月4日、累計販売本数は発売日が集計期間外の場合のみ記載)
(引用:週刊ファミ通 2005年10月28日号(2005年10月14日発売) No.880,エンターブレイン,p45〜p47)

分かる人には分かると思いますが、ずいぶんと無難な結果に終わったなあと(笑)。まあ、これでいい意味ですみ分けができたのかなあと思ったりして。
(注:分からない人にはさっぱり分からないこと書いてますが気にしてません)


順位機種ソフト販売本数累計販売本数発売日メーカー
20GCポケモンXD 闇の旋風ダーク・ルギア194,775本
2005年 8月 4日ポケモン
23GCスーパーマリオスタジアム
ミラクルベースボール
179,989本
2005年 7月21日任天堂
30GCファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡156,220本
2005年 4月20日任天堂
35PSPワールドサッカー ウイニングイレブン9
ユビキタスエヴォリューション
137,337本
2005年 9月15日コナミ
54GCちびロボ!91,483本
2005年 4月20日任天堂
68GC実況パワフルプロ野球1274,705本
2005年 7月14日コナミ
72PSPダービータイム70,455本
2005年 4月21日ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン
76PSPサルゲッチュP!65,170本105,190本2005年 3月17日ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン
77PSPみんなのGOLF ポータブル64,056本390,694本2004年12月12日ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン
78PSP天誅 忍大全63,664本
2005年 7月28日フロム・ソフトウェア
92GCDance Dance Revolution with MARIO55,484本
2005年 4月20日任天堂
93PSPテイルズ オブ エターニア54,785本188,185本2005年 3月 3日ナムコ
99PSPBLEACH〜ヒート・ザ・ソウル2〜50,028本
2005年 9月 1日ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン
100PSP首都高バトル49,571本
2005年 4月21日元気
(集計期間:2005年3月28日〜10月4日、累計販売本数は発売日が集計期間外の場合のみ記載)
(引用:週刊ファミ通 2005年10月28日号(2005年10月14日発売) No.880,エンターブレイン,p45〜p47)

これは、当同好会の某3氏に指摘されたことなんですが、こうやって見てみるとGCの方がPSPよりソフト売れてません?
試しにここにある分だけ足してみましょう(集計期間内だけ)。
GC・・・752,656本
PSP・・・555,066本
えーと・・・世間的にはGCはもうハードとしては末期で、PSPは去年発売されたばかりの新鋭携帯ゲーム機だと思うんですが・・・
PSPが発売されてまもなく1年、魅力的なソフトが不足しているということは紛れもない事実のようです。というか、これってN64やGCと同じ傾向のような・・・
あ、ちなみにDSとの比較なんてやりませんよ。東(略)グだけですでにPSP全ソフト上回ってるし(笑)。


最後に

 このバイトを半年やってみて、ゲームが商品としてどういう動きをするのかというのが多少ながら知ることができ、もともとゲーマーな私にとっては楽しませていただいています。これからもしばらくは続けて、稼がせていただきます。

・・・ところで、私はまだゲームが一番売れる時期であるクリスマスや正月を体験していません。先輩に話をきくと、「キレそうになる」だそうで・・・。まあ、なんとかなるだろう・・・。うん・・・。