M2S ちょこ太
1. はじめに 上記の『電通病』は実際に存在する病気である。それは理系単科大学であるという環境的な条件とパソコンの普及という時代背景に支えられて拡大の一途を辿っている 。(※1) 当サークル『X680x0同好会』にもその病魔は忍び寄ってきている。 いや、むしろその温床である可能性も高い。 というのも多くの症例がパソコンおよびインターネットの普及に起因すると考えられるため、主にコンピュータを用いた活動を行う当サークルはまさにうってつけの環境であるといえるのである。 そんな折、部会(※2)の際に板書に誤字を書き連ねる副部長の姿を見ていた筆者は妙案を思いついた。 それが今回の『X68統一漢字検定』である。 漢字テストを行うことで電通病の症例のうち最も顕著な症例である『漢字が書けなくなる』の実体を調査しようというものである。 本稿は2006年9月に行われたサークルの夏季合宿においてこの漢字テストを実施した結果と、それに関する考察を記したものである。 ※1 当局調べ(主に勘) ※2 同好会なのに部会。仕様です。以下、部員なども同じ。 2. 試験概要 試験問題については『日本漢字能力検定』(漢検)の二級の市販問題集(※3)を利用する。漢検二級は「高校卒業程度」とされており、曲がりなりにも大学生である部員であれば解答するのに十分な能力を有しているはずである。 問題数120問で200点満点。 本来の漢検であれば8割にあたる160点が合格ラインとされている。 制限時間は60分。 最終的な受検者数は自ら受検を希望した22名。 学部1年生から大学院生、OBまで幅広い構成となった。 はたして、どのような結果が出たのだろう。 ※3 『本試験型 漢字検定2級試験問題集2007年版』(成美堂出版 \660(外税)) 3. 試験結果 試験自体は滞りなく終了した。以下は採点中、および採点結果とそれについての考察となる。 3.1. お前ら、問題読め まず始めにこれは強く言っておく必要があるだろう。問題用紙をちゃんと読め! 問題用紙の冒頭には以下の二文が記されていた。
論より証拠。次の図をご覧頂きたい。 図1.問題用紙を読まなかった愚か者たち 厳しく採点すればこの時点で0点となるのだが今回はこうして公衆に晒すことで許すこととしよう。 だが問題用紙をちゃんと読んでいない解答はこれだけではない。 それは問題(2)の(ア)。
この設問に対して空欄部分のみを解答した受検者は22人中なんと17人。 大多数の人間が問題を読んでいないことが伺える。 この問題についても採点に際しては不問とし、空欄部分のみでも得点として扱った。 なんて優しいんでしょう。 該当者の方々は以後様々な場面で気をつけてもらいたい。 3.2. 採点結果
以上のような採点結果となった。 なお合格ラインである160点を超えているのは1名のみであり、彼はすでに漢検2級を取得済みである。 実施前には全員が100点以上で、130点程度が平均点になるかと予想していたが見事に裏切られる結果となった。 何より既取得者を除いて合格ラインに達する者がいなかったのは全くの想定外だった。 3.3. 学年と得点 入学からの学年と得点の推移について考察してみる。電通大に入学してからの年数が長いほうが電通病の進行度合いが高くなり、得点が低くなることが予想される。 しかも大学一年生といえばつい半年前まで受検という関門に立ち向かうべく勉学に勤しんでいた存在である。 文系授業がほとんどない電通大に慣れた上級生に負けることはないだろう。 以下がX軸に入学からの年次、Y軸に得点をプロットしたものである。各点が個人の得点を示している。 図2.学年と得点の相関図 なんと予想とは異なり、入学からの年次が進むにつれて得点が高くなる傾向があることが伺える。 もしかすると電通病とは電通大に入ったから発症するのではなく、電通病の症状をもつ者が電通大に入って来ているだけなのかもしれない。 そして大学に在学して電通病と診断される(※4)ことでその症状を自覚し改善する傾向にあるのかもしれない。 ※4 通常の病院はおろか大学内にある保健管理センターに行ってもこのような診断は受けられません。 3.4. 「読み」と「書き」 試験を始める前から「読みは大丈夫だろうけど書くのは自身ない」といった発言は多く聞かれていた。パソコンの普及によって漢字を『書く』ことから遠ざかっても、『読む』ことはむしろ多くなるのであろうことが予想される。 では、実際に試験結果から読みと書きの問題の得点傾向にどのような特徴が読み取れるかを考察しよう。 試験問題には純粋な読みの問題が30問ある。 対して書きの問題は、送り仮名を含めた問題が5問、純粋な書きの問題が25問用意されている。 つまり読み書きどちらも30問ずつである。 まずは読みの問題について。 やはり読みには自信が伺えたように正解率は高い。 最も間違えた者でも8問しか間違えていない。 平均して30問中25問は正解している結果となった。 対して書きの問題。 こちらはできる人とそうでない人に大きな差が生じた。 最高正解者が28問正解したのに対し、最低正解者は僅か4問の正解であった。 平均をとると30問中13問が正解となっていた。 まとめると次のようになる。
読み書きの問題では正解率に2倍ほどの開きがある。 明らかに『読めるけど書けない』という傾向がある。 やはりパソコンの利用によって読むことと書くことのバランスが変化したことによる結果だと思われる。 3.5. 珍解答 さて、いよいよお待ちかね(?)の珍解答集である。実は試験開始時に「解らなかったらボケてもらって構いません」と告知してある。 果たしてどんな笑いを提供してくれるのだろうか。 なお、「そんな字ねーよ」という解答のほとんどは割愛させていただきます。
仮病を使う時は気をつけましょう。
チョコではありません。
麻雀のしすぎです。
みんなマンガの読みすぎです。
残念ながらこんな字はありません。
漢字テストですよ?
「小僧」が正解。なぜかイラストつき。
んー、惜しい。
既に死んでいたようで。
据え置かないでください。
口喧嘩が始まった。
いや争いは途絶えた。
心が広いです。
きっとよけいに散らかります。
イメージは合っています。
あんたが大将。 4. まとめ 4.1. 受検者の感想 受検者の人には解答後に受検してみての感想を書いてもらった。抜粋して紹介しておこう。○ 出そうで出ない漢字が多くて困った。多分答えを見ればすべて分かるはず… ○ 首のあたりまで出てるのに、っていうのが多すぎて… ○ すぐ思いつくような言葉でもかなり書けないことがわかりました。 やはりこの系統の感想が目立ちます。 これを機に漢字をもう一度見直しましょう。 ○ さっき気付いたんですが、IMEとATOKってとても便利なモノだったんですねっ ○ やはり如何に機械に頼っていたかを痛感しました orz それこそが電通病の始まりのはずです。 今ならきっと引き返せます。 ○ |||OTL||| 1つ前の人もそうですが、電通病の別の症例が出ていませんか? ○ もう少しボケる自由度の高い問題がよかったです。 ○ ネタを出す時間が足りない 本来の趣旨はそこじゃないです。 概ね、自分が思っているよりはできなかった、という感想だった。 知らず知らずのうちに冒されている電通病。 おそろしや。 そして最後に案の定やってくれた、感想での誤字。どうぞ。 それに気付いたのなら訂正してください。 思わず×いれてしまいました。 4.2. 結論 3.4節よりX68部員が、漢字が『読めるけど書けない』という状態に陥っていることが確認できた。また試験後の感想に多く現れている「知っているのに」といった感想から、その傾向にあることが伺える。 この傾向の原因はやはりパソコンなどに頼りがちな生活をするようになる電通大ゆえであるといえるのではないか。 しかし断定するには他大学についても調査せねばならず情報が不足している。 この問題についてはいずれ誰かが解決してくれることを激しく期待して放置することにする。 なお冒頭に登場する『誤字の多い副部長』にも実は受検してもらっている。 彼の試験結果は受検者22人中8位。 部会の時の印象とは裏腹になかなかの結果だ。 ここぞというときにだけ実力を発揮するタイプなのだろうか? X68部員は個人差こそあるものの全体的に漢字を苦手とするようである。 今回のことが今一度漢字との付き合い方を見直すきっかけになってくれれば幸いである。 5. で、あんたはどうなんだ? と、ここまでで終わらせてしまってはご協力いただいた方々から、「お前はどうなんだー!」というツッコミが入ることだろう。心配しなくても私もきちんと受検する。 しかし、我が身は6年間にも及ぶ電通大での生活によってすでに電通病に蝕まれていることは想像に容易い。 つまりどのような点数をたたき出そうとも全く不思議ではないのであるっ! ……さて、逃げ道も確保したので安心して取り組むとしよう。 なお、問題は同じ問題ではなく同冊子の別の問題を利用した。 難易度に大きな差はないはずであるが、純粋に比較できないことはご了承いただきたい。 (受検中) ………糸冬 了。 案の定、『見た覚えはあるのに書こうとすると書けない』という事態に陥ったのは言うまでもない。 さあ、採点結果は! 113点。 何ともコメントに困る点数を取るあたり、実に私らしい。 私が電通病か否かは他の症例から判断するしかなさそうだが、それは本稿の目的から外れるので放置しよう。 ていうか放置してくれ。 ちなみに珍解答と呼べるものが1つだけ存在していたので、すでに3.5節に紛れ込ませてある。 問題を知らない人には探しようがないだろうが、まあこれも放置の方向で。 6. おまけ 以上で本稿は終了です。駄文にお付き合いいただきありがとうございました。 なお本文中には筆者の妄想やら電波やらが多分に含まれておりますのでどうか真に受けることのないように。 ところで、本稿の中には3文字、わざと誤字を含んでいるのですがお気づきになられただろうか? 全く違和感がなかった、というアナタ。 知らないうちに電通病に冒されているかもしれませんよ? (ちなみに冊子で配布されている会誌の当記事と誤字の箇所が違います( ̄ー ̄)ニヤリッ )
ちょこ太
cho_co_ta@hotmail.com http://chocota.ddo.jp/~chocota/ 誤字の解答は↓を反転。 ・実体(1章 →実態) ・自身(3.4節 →自信) ・糸冬了(5章 →終了 これを誤字と感じないアナタはかなりヤバいですよ) |