大神を語る〜隊長ではなく狼〜 文:ファン

・大神とは?

大神とはクローバースタジオ株式会社で製作され、カプコンにより販売されたアクションRPGである。
古代日本の神話や昔話などをモチーフにしつつ、水墨画のような絵柄によって世界観を魅せているゲームだ。
ストーリーのあらすじとしては以下の通りである。

”昔々あるところに、大神と呼ばれた、自然や動物を愛する、優しい神様がいました。人々はその加護を受けつつ、平和に暮らしていたとさ。
しかし、あるとき、大昔に封印されていた邪龍ヤマタノオロチが復活し、人や建物はおろか、太陽まで飲み込んでしまいました。
闇に飲み込まれた世界。そんな中、唯一つ、神木村だけはその災厄から逃れていました。
災厄の大きさに嘆いたサクヤ姫は、神木村に拝められていた守護神、大神像にある神様を降臨させました。
呪われた大地を照らす天つ日と共に、大神アマテラスの復活です。
アマテラスは全ての命を救うため、お調子者で口の悪い相棒一寸と共に旅立つのでした。

一部は説明書より拝借した文章である。作者はあらすじが苦手でしょうがなかった…。
しかし、それはいいとして、この少しマイナーでありつつも、暖かく、時には悲しく、そして和むゲームを色々と語ってみよう。

・ハートフルな話、それが大神

兎に角、このゲームは面白い意味で変わったゲームだ。まず主人公が大御神天照(以下アマテラス)なのだが、彼女(彼)の姿は狼、いや犬にしか思えないのだ。タイトルの「大神」と「狼」をかけているのだろう。しかし、ゲーム中でのアマテラスの仕草は犬そのものなのだ。
ゲーム中のアクションの中には「吼える」や「穴を掘る」などがあり(前半などゲーム中、何の効果がない)、そして彼女はしゃべらない。
イベント中での会話は一方的か相棒の一寸が応対する。アマテラスは「わんっ!」やら「わう?」やらと可愛い仕草を見せたり、時には吼えたりと、
犬にしか見えない。もっとも、ゲーム中でもアマテラスは犬かよくて狼にしか見られず、「シロ」やら「ポチ」など好き勝手に呼ばれているのだ。
しかし、アマテラス自身もその犬扱いに不満を持つことなく、寧ろ堪能しているようだ。元々犬だったのだろうか?そこらへんは本編で知るので、
割愛させていただくとして、可愛い仕草のアマテラスに、犬好きは卒倒ものだ!
ストーリー自体も、難しい事はそんなになく、真っ直ぐで暖かく、判りやすい。ただ、判りやすくて、その手のゲームが好きではない人にはむいていないのかもしれない。だが、それがいいのだ。
このゲームには経験値の代わりに、「幸玉」というものが用意されている。幸玉とは、人間や動物にとって嬉しい事、幸せになる事をして、感謝の気持ちがアマテラスの力となるものの事。つまり、人助けをして何か物品をくれたりする事は稀ながらも、その感謝の心は感じられるのだ。
人助けをする喜び、幸せになる事の温かみ。これを感じるハートフルなストーリー、それが大神クオリティ。

・斬新なシステム"筆しらべ"について

大神の一番の売り、それは「筆しらべ」。「筆」で色々な形を描き、時にはそれで人助け、ある時はいたずらをしたりできるのだ。
今までのゲームでは味わえないこのシステム。謎解きの要素を大きく盛り上げてくれるので、中々いい。
時には風を起こして風車を回し、ある時は日を照らして時間を操り、ある時は岩を切り落としたり。比較的自由な行動ができるのもまた嬉しい。
しかし、このシステム、どう考えてもニンテンドーDS向きだ。PS2の3Dスティックだと、上手く丸がかけなかったり、意外と四苦八苦するので、
次回作はぜひ、ニンテンドーDSかWiiで出してもらいたいと思う。
さて、普段ポアッと(一寸談)しているアマテラスだが、いざ敵である妖怪との戦闘となると、その闘争本能をむき出しにして、非常にカッコいい姿を見せてくれる。武器である神具の鏡や勾玉、そして宝剣を使って、敵をばっさばっさと倒していく。そして、その戦闘を補助する役割として「筆しらべ」が使えるのだ。 時には風で敵を吹き飛ばし、またあるときは敵を切り裂く。アクロバティックな戦闘に、更にスピード感を与え、飽きさせない。
しかし、大神の難しさはここにあるのかもしれない。話は簡単だが、アクション性が高い。それもまた、大神クオリティ

・終わりに

結局、業者の手伝いというか、ただの宣伝になってしまい、申し訳ない。しかし、それだけ面白いゲームだったと、自分は思う。
クローバーという小さなゲーム会社が作り出した、大きな神様のゲーム。それが大神。忘れた、小さな何かを思い出させてくれる、そんなゲームだと
思うわけだ。機会があれば、このゲームに少しでも興味を持って欲しいと思う。
最後に、ご精読ありがとうございました。