Z区分とは何事?

1J 森田 直樹

1.序文

 最近のゲームソフトのパッケージにはA(全年齢対象)とかZ(18才以上のみ対象)など対象年齢が明示してあります。これはCERO(コンピュータエンターテインメントレーティング機構)という、民間の機関が定める年齢別レーティング制度によるものですが、その中でも最も厳しい評価であるZ区分について色々述べたいと思います。

2.年齢区分の概要

 CEROによる年齢別レーティング制度は2002年に始まりました。これはゲームソフトをCEROに審査してもらい、その対象年齢がどれくらいになるのかを定めてもらうというものです。初めは単に対象年齢を記載するだけで、対象年齢に達していない者の購買を抑止するものではありませんでした。というのも、過度に性的、暴力的な表現を含むゲームはそもそも販売が許されていなかったからです(これにはCEROだけでなく、そのソフトを販売するハードメーカーの審査も加わります)。つまりCEROに言わせれば、18禁に区分すべきゲームなんか存在しない、ということだったのです。
 しかし「グランド・セフト・オートV」を有害図書指定する地方自治体が現れ始めたことにより、この主張の撤回を余儀なくされ、新たな年齢別区分(A、B、C、D、Zの五つ)に設定し直しました(2006年のことです)。中でもZ区分は18才未満の者に対しては販売、頒布を禁止するという、いわゆる18禁ゲームという扱いになりました。因みにD区分(17才以上対象)とZ区分の違いは「人間への無差別な殺傷」や「残虐な身体分離欠損」などの表現が含まれるか否かです。

3.Z区分化されたゲームはどうなるのか

 Z区分化されたゲームは18才未満の者に売ることが出来ない(販売時に年齢確認を行う)だけでなく、他の商品と区別して陳列されたり、店頭でのデモが禁止されたり、そもそも販売しないという量販店も存在し、広告が制限されるという事態も起こります。
 このような扱いは基本的に、成人指定の映画、漫画などのそれと等しく、何の問題もないと思う人もいるかもしれません。しかしゲームは、プレイヤーが参加するタイプのメディアであるという観点から、他のメディアよりも規制が厳しいのです。現に映画、漫画における成人指定は性的なものが多いのに対し、ゲームのそれは暴力的なものであることがほとんどです。18禁の映画や漫画と、18禁のテレビゲームは似て非なるものなのです。この事情を知らない人達からは、ゲームにおける18禁と他のメディアにおける18禁が同列に扱われてしまうことがあります。これによって先述したような不当な扱いを受けてしまうと言えるでしょう。

4.個人的な考え

 子供が暴力的なゲームで遊べなくなるのは一向に構いません。というか、そもそもやるべきではないと思います。しかし心配なのはゲーム企業が、子供に売れない+宣伝に制限がかかる→売り上げが期待できない→じゃあ(Z区分になりそうなゲームは)作るのやめるか、という考えに落ち着いてしまうことです。
 この文章を書くきっかけにもなったことですが、私の手元にある「killer7」というゲームはZ区分化されています。このゲームは内容がかなり過激なので、明らかに子供が遊ぶものではないです。しかし私にとっては面白いゲームだし、このゲームから残酷な描写を抜いてしまっては台無しです。残酷な描写というのは表現の一つとして非常に重要だと思うのです。

5.結論

 Z区分は必要。でも販売や宣伝に制限をかけるのはやめるべきだと思う(未成年者には売らない、だけでいいんじゃないだろうか)。グラフィックの進化に伴って表現方法も多彩になってきた今だからこそ、その扱いにはもっと慎重になってほしいと思います。CEROがゲームの幅広さを理解し、今後お気楽なゲームの氾濫を助長させることがないよう祈ってます。