ゲーム設計について(激しすぎる制作秘話はちょっと割愛)


 本作の仕様を見直して思ったのは「俺ってFF好きだな~」という事だった。特に初期FFの影響はかなりあって、本作の魔法習得システムはまんまFFⅡである。定期船や浮上船(ホバークラフト)の存在もそうだし、世界晶なんて結構シャレになってないオマージュだと自分でも思う。まあ、その辺は僕の力量不足によるもので、今回はゲームを一つの形にまとめるのが精一杯だったというのが本音である。大目に見てください。ダメ?

 しかし今回は製作時間が短い。許されるのはたったの3ヶ月半である。そんな狂気に満ちた環境なので、本作は本当に要素を切り詰めて制作している。魔法にしてもその数32種類。FFシリーズ中最も魔法の少ないⅡの半分程度の数である上、移動中使用できるのはその中で僅かに3種類。移動時の毒ダメージも諦め、更にはダンジョン脱出魔法もない。結果として、いつでもセーブを実装しないとツラ過ぎる仕様になってしまった。まあこれはこれで気に入っているんだけどね。

 バランス調整にもたいした時間は割けないので、なるべく手間をかけないような工夫もしている。例えば取得経験値は、敵と自分の能力差で補正した値が取得される(FE方式だね)。これ1つで各地点でのプレイヤーキャラレベルはかなり楽に制御できる。また、出現する敵も能力値より使用攻撃・特殊能力でだいたい強さが決まるようになっている。レベルの重要性は低下するが、逆に言えば敵の特性・有効な戦法を知っていればかなり低いレベルでも撃破が可能である。勝てなきゃ黙って「稼ぎ」をやればいいし。この構造ならば少なくともドラクエ式RPGを作るよりはバランスは取りやすい。と思う。自信ない。

 で、もちろんストーリー製作も狂気に満ちているのだが、これはそうそう楽な道は無かった。出来る対策といえば、初期FFの如く「ただの民家」を作らないというルールで町を生成するくらいなものだが、それだけで劇的に作業量が減るはずもなく・・・。とにかく短いメッセージ・短いイベントでどれだけ多くを語るかに腐心した。この辺も初代FFを彷彿とさせる点だ。アレは全編4行メッセージ一文で済まされていた。アレには勝てん。

 というワケでまー全日程、苦行の連続で未だその真っ只中ですよ(この事態を起こした張本人が何を言うんだ!とSUEさんに怒鳴られそうだが)。しかしまあ、もう成人してるような男らがみんなして全力を出し切っているという事態もそうないワケで、こんだけやれば少しは「遊べるゲーム」になってるでしょ。ご判断はもちろんプレイヤーの皆様にお任せしますが、今はこう言いたい。「寝かせてくれ」と。


「製作に当たって」時とテンションの違う並木優明